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おしらせ
● 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令の一部を改正する政令の公布等について
(厚生労働省健康局結核感染症課長 より)

  感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律及び検疫法の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(政令16年7月9日政令第230号)及び感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行令の一部を改正する政令(平成16年7月9日政令第231号)が公布され、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下「感染症法」という。)に基づく動物の輸入届出制度の施行期日が平成17年9月1日定められ、感染症法に規定する獣医師の届出の対象となる感染症及び動物が追加された。

改 正 後 改 正 前
一. エボラ出血熱 サル
二. マールブルグ病 サル
三. ペスト プレーリードッグ
四. 重症急性呼吸症候群
(病原体がSARSコロナウイルスであるものに限る。)


五. 細菌性赤痢 サル
六. ウエストナイル熱 鳥類に属する動物
七. エキノコックス症 犬
一. エボラ出血熱 サル
二. マールブルグ病 サル
三. ペスト プレーリードッグ
四. 重症急性呼吸症候群
(病原体がSARSコロナウイルスであるものに限る。)





サルの細菌性赤痢
 【定義】

赤痢菌(S.dysenteriae(A群赤痢菌)、S.flexneri(B群赤痢菌)、S.boydii(C群赤痢菌)、S.sonnei(D群赤痢菌))の経口感染による血液を混じた下痢を典型的な症状とする急性感染症。

 【臨床的特徴】

サルでの臨床症状はヒトに類似し水様性、粘液性、粘血性及び膿粘血性の下痢、元気食欲の消失及び嘔吐を呈する。発症個体では数日から2週間で死亡することが多い。病巣は大腸に限局しており粘膜の肥厚、浮腫、充血及び出血が認められる。

 【届出基準】

診断した獣医師の判断により、症状や所見から当該疾病が疑われ、かつ、糞便や直腸スワブからの赤痢菌の分離同定がなされたもの。

 【備考】

サルからヒトへの感染例として、国内ではペットのサルからの感染事例、国外では飼育作業者や動物園での感染事例が知られている。
 糞便や直腸スワブからの赤痢菌の分離同定に際して、無症状保菌例からの菌分離は3日以上の間隔で3回以上の検査が必要である。また、検体は選択制の強いSS寒天培地と選択制の弱いDHL寒天培地やマッコンキー寒天培地などに塗布し培養する。疑わしいコロニーについてTSI寒天、LIM培地などの確認培地に移植するとともに生化学的性状及び血清型別の検査を行う。大腸菌などとの誤同定に注意を要する。サルモネラ症、エルシニア症、アメーバ赤痢などとの類症鑑別が必要である。



鳥類に属する動物のウエストナイル熱
 【定義】

フラビウイルス科フラビウイルス属ウエストナイルウイルスの感染に起因する疾患。

 【臨床症状】

鳥類では、一般的には無症状の場合が多いが、沈鬱、食欲不振、衰弱、体重減少などの特異的でない症状が見られる場合もある。中には運動失調、振戦、転回、不全麻痺などの神経症状を呈するものもあり、カラス等のように感受性が高く死亡する種類もある。臨床症状を呈する期間は1〜24日の幅があるが通常は1週間以内である。血液学的所見及び生化学的所見に特異的なものは認められていない。

 【届出基準】

診断した獣医師の判断により、疫学的情報、症状・所見等から当該疾病が疑われ、かつ、以下のいずれかの方法によって病原体診断又は血清学的診断がなされたもの

・病原体の検出
   総排泄腔、口腔拭い液、脳、腎臓、心臓、血液等からのウイルスの分離
・病原体の遺伝子の検出
   総排泄腔、口腔拭い液、脳、腎臓、心臓、血液等からのRT-PCR法による遺伝子の検出
・病原体に対する抗体の検出
   中和試験等による血清抗体の検出

 【備考】

ウエストナイルウイルスには多くの哺乳類及び鳥類が感受性であるが、米国での発生ではカラスが最も高い感受性を示し、ウエストナイルウイルスにより死亡した可能性のある鳥の1/3から1/4を占める。カラスにおけるウエストナイルウイルス感染も疫学的には他の感染症と同様、流行は時間の経過にともなって、病気あるいは死亡数が徐々に増加し少なくとも数週間にわたって継続すると考えられる。 米国におけるウエストナイル熱に係るカラスの死亡調査では、殆ど(約9割)は単独で発見されており、複数(2から100羽)で発見される場合でも平均は2.8羽である。一方、中毒等の場合は発生数が時間軸に対しシャープなピークを示し、自然発生の感染症とは異なるパターンを示す。
 もし他の死亡原因が考えられず、疫学的見地から何らかの感染症の自然発生が疑われるカラス等野鳥の死体発見が継続する傾向がある場合は検査することが望ましい。



犬のエキノコックス症
 【定義】

多包条虫(Echinococcus multilocularis)及び単包条虫(Echinococcus granulosus)の感染による寄生虫症。

 【臨床的特徴】

感染は、中間宿主(多包条虫の場合は野ネズミ、単包条虫の場合は有蹄類)の内臓に寄生した幼虫を摂食することによる。摂食により犬に取り込まれた幼虫が小腸内で発育し、成虫となる。感染後、多包条虫の場合は約1か月、単包条虫の場合は2か月ほどで糞便とともに虫卵が排泄される。感染した犬は、通常症状を示さないが、まれに下痢を呈することがある。

 【届出基準】

獣医師が疫学的な情報(備考欄参照)などに基づきエキノコックスの感染を疑い、かつ以下のいずれかの検査方法によって病原体診断がなされたもの。

(材料)糞便
・病原体の検出
   虫体又はその一部(片節)の確認
・病原体の遺伝子の検出※
   PCR法による遺伝子の検出
・病原体の抗原の検出
   ELISA法による成虫由来抗原の検出(駆虫治療の結果、成虫由来抗原が不検出になったものに限る)

※:虫卵はテニア科条虫では形態上区別できないので遺伝子の検出を試みる。 

 【備考】

現在のところ、国内における犬の感染例は、多包条虫のみである。また、通常、感染した犬は症状を示すことはない。したがって、キツネのエキノコックス症が確認されている地域※における放し飼いなど、中間宿主である野ネズミの捕食の可能性を示す疫学的な情報をもとに病原体診断を実施する必要がある。さらに、糞便中の中卵は、ヒトのエキノコックス症の感染原因となるので、糞便の取扱いに注意を払う必要がある。

  ※:現在のところ、確認地域は、北海道。